2015-01-02 神楽ケ峰バックカントリー 遭難・行方不明

概要

2015年1月2日、かぐらスキー場からバックカントリーに出たスノーボーダー3名が行方不明となり、捜索の結果、4日8:50ごろ発見され救助された。
  • このエリアの滑走は5回目
  • 2日夕方頃、ルートを間違えた
  • 警察に「ロッジに宿泊していた3人がスノーボードに出かけたが、夜になっても帰ってこない」と通報
  • 発見されたのは神楽ケ峰の北西 発見地点(YOMIURI ONLINE)


データ

日時:2015年1月2日
場所:神楽ケ峰
天候:晴れ
積雪:250cm(かぐらスキー場)


傷病者

45歳男性(スノーボード)
44歳女性(スノーボード)
40歳女性(スノーボード)


ニュース記事

NHKニュース:スノボの男女3人遭難か 新潟・湯沢
朝日新聞:スノボの夫婦ら3人組が遭難か 新潟・湯沢
nikkansports:湯沢で不明の3人救出 穴と雪の2日間 - 社会ニュース


ひとこと

メディアなどで「コース外滑走」をしていたという表現が多用されています。
「コース外」というと、スキー場の管理区域内のように感じてしまいますが、そうではありません のは、ここではスキー場管理区域外を指しています(2015-01-09修正)。

今回の件は、スキー場管理区域から「(バックカントリー)」に出て行って滑走していたものです。

  1. スキー場管理区域外(バックカントリー)
  2. スキー場管理区域(スキー場内の各コース・リフトゴンドラ・施設など)
  3. スキー場内の滑走禁止区域(スキー場管理者の判断で規制)

筆者が「コース外」と言われて思い浮かべるのは「3」のうち、コースマップで示されていない部分です(2015-01-08 21:30追記)。


かぐらスキー場は国有林内にあり、スキー場管理区域外(報道等では「コース外」と言っていますが)に出ていく(入林)ことについては、何ら制約はありません。

国有林はレジャー目的での入林は申請等不要です。(一部危険区域では制限されていることもあります)

参考:中部森林管理局・入林許可申請事前の手続きが不要な場合 行楽登山等一般的なレジャー、森林レクリエーションなどが目的の場合には、入林の手続きの必要はありませんが、マナーやルールを守りみんなが楽しく利用できますようご協力ください。

私有地の場合は、立入禁止とかの標識があるのがほとんどかと思います。

所有者が誰であっても(国・自治体・法人・私人)、立入禁止の表示を無視して立ち入ることは軽犯罪法違反になります。


TVニュースで救助映像が出ていましたが、その中で救助隊員が遭難者に対して「コース外滑走はダメ!」というような発言をしていましたが、上記のとおりこれは筋違いです。

ただ、「こっちも命がけなんだから!」とも言っていました。

これはそのとおり、二次遭難などの危険もある中での救助活動です。
ここを忘れてはなりません。



かぐらスキー場のブログを見ていると、様々な標識看板で注意を促しており、ここ数年の遭難事故多発への対応に苦慮していることが伺えます。

ゲート付近まで通じるリフトを運行していますし、いざ遭難事故となれば、スキー場管理者も捜索に協力しなければなりません。

できるだけ事故が起きないように、このような対策が必要となるのですが、しかし、これらの看板、やや説明が不明瞭な感じもします。

「当スキー場ではコース外滑走は禁止です。」と書いておきながら「15:30までにお戻りください。」とか(画像)。

この場合の「コース外」がどこを指しているのか、といえば、管理区域外であるとは思うのですが・・・

今回の件それ以前の問題のような気もしますが、利用する人の意識とスキー場管理者・山をよく知る人の意識の差を埋めていくために、日々努力ですね。

用語の統一感という点からもきちんと整理していくべきなんだと思います。

コメント

  1. 田中 伸明18:37

    はじめまして、京都府の丹後半島に住んでいる田中と申します。
     地元丹後半島や近隣の中国山地東部の山を中心に、テレマークスキーでの冬山を楽しんでおります。神楽ヶ峰も、9年前に一度スキーで滑ったことがあります。

     さて、この神楽ヶ峰の遭難のニュースやネット掲示板での書き込みの多くが、「コース外」ということを混同し「ルール違反」と決めつけていると感じておりました。中部森林管理局のサイトを根拠にあげながらの論理的な説明は、大変参考になりました。
     ところで、救助隊員がきつい口調で遭難者に言葉をかけているシーンを含んだ映像(下記URL)についてです。
      https://www.youtube.com/watch?v=O2YEh6im2W8
     どうもその映像の編集の仕方に、遭難者あるいは雪山愛好家を非難するような意図があるように思われます。救助隊員の言葉については、前後関係がわからないので何とも言えません。べたな想像ですが「命を危険にさらしてまで、コース外なんか滑ったらダメじゃないですか!」ということならば、だいぶ印象が違ってきます。3人に対してでなく、男性だけに言っている理由もわかりませんし、あの場面で唐突にあの口調でいうことは不自然に感じます。あの前の言葉もあるだろうということも考えられます。
     また、上記の映像の1分くらいでは「登山届が必要」と字幕とナレーションでいわれています。これも正確ではないですね。「出さなくてもいい」という言い方を避けるのであれば、「提出を求められている」とすればいいのですが。
     さらに、その少し前の50秒過ぎからのGogleEarthの画像を使った場所の説明部分も不正確ですね。あの画像を作った人はどこまでがスキー場の範囲内で、どの範囲がバックカントリーなのかわかっていないようです。まるで、そもそも神楽ヶ峰はスキー場外であるのに、登頂後、予定のルートを外してしまったことで初めて「コース外」あるいは「バックカントリー」に出てしまったように受け取れます。
     この土日に放送された情報番組(上記映像の配信元のテレビ局であるTBS)の1週間のニュースダイジェストでは、映像がさらに短縮されいました。嘘をついたと告白している記者会見のシーンや、山で救助隊員に叱られているシーンを残し、持参の装備で雪洞を作った場面をカットされていました。そして、登山届については「必要」から「義務」へとさらに強められていました。事実を正確に伝えることよりも、遭難者を非難する意識が優先されているように感じられます。
     嘘をついた点はスキー場や世間への信頼を失う、褒められない行為です。しかし、雪山の装備・技術、そして記者会見で3人揃って顔を晒し、言い訳をせず、ひたすら謝罪と反省に徹していたところはからも、こんなに悪いイメージをもたれなくてもいい人たちではないかと思います。「雪山の恐ろしさがやっとわかった」と本人がおっしゃっていましたが、本当に分かっていなかったら二晩をしのげなかったと思います。3人揃って軽傷で、すぐに病院から返され、そのまま事情聴取、記者会見ということですから、その山での力量を評価されてもいいのではないかと思います。もちろん、自力下山という自己責任を果たせなかったということで、全体的にはマイナス評価であることは仕方ありませんが。
     最後に、去年の暮れに受講した、日本雪崩ネットワークの雪崩事故防止セミナーで言われていたことです。
    「近年遭難者への非難の風潮が強い」
    「危険と知りながらそれでも山に行く我々と、行かない人(マスコミや行政、そして世間一般)との考えは、折り合わないということが大前提」
     新年早々、また繰り返されてしまいました。

     と長々と書いてしまいました。今後も参考にさせていただくつもりです。

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