熱中症の損害賠償訴訟、市に賠償命令
asahi.com: 愛知・一宮市に4500万円の賠償命令 熱中症訴訟 2007年09月26日11時35分 愛知県一宮市立北部中学校の2年生だった*さん(当時14)が04年7月、部活動の男子ハンドボール部の練習中に熱中症で倒れ、死亡した事故で、両親と弟が同市に総額6900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、名古屋地裁一宮支部であった。村上久一裁判長は「学校側には熱中症予防を怠った過失がある」として市に計約4500万円の支払いを命じた。うち100万円は、自閉症の弟に対する慰謝料とした。 訴えていたのは、*さんの両親で大学職員の**さん(57)、***さん(42)夫妻と、弟の****さん(14)。 判決によると、*さんは04年7月27日、部活動中に、ダッシュを繰り返していて倒れ、約1カ月後に病院で多臓器不全のため死亡した。 判決はまず、学校側の過失の有無について検討。熱中症予防について00年ごろから文部科学省などから通知が出ていたことを指摘し、「部活動顧問は、熱中症にかからないよう防止すべき義務を負っていたのに、31度を超える気温の中で熱負荷の大きい運動をさせ、練習内容自体に配慮を欠いた」と述べて顧問教諭の過失を認定した。 また、校長についても「気温に応じて練習内容を変更するような体制作りを指示しなかった」として注意義務違反があったと判断した。 そのうえで、*さんの死因について、「熱中症予防を怠った結果、熱射病にかかった」と述べ、学校側の過失と死には因果関係があると結論づけた。 また、民法では固有慰謝料の請求権は父母や配偶者と子にしか認められていないが、判決は、弟で自閉症の****さんにとって*さんがコミュニケーションを取れる数少ない相手だったことを重視し、「民法の定めた者と同視できる身分関係があった」と認定した。