栂池高原スキー場の雪崩死亡事故で引率者に有罪判決

概要

2008年2月3日、栂池高原スキー場でスキー実習中に女子大生2人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた当時引率役の元同大非常勤講師男性(65)に対し、長野地裁松本支部は、禁錮3年、執行猶予4年(求刑・禁錮3年)を言い渡した。

雪崩の予見性
被告の指導歴から雪崩の発生は十分に予測できた(読売新聞)
被告はコース閉鎖の看板などを確認しており、雪崩の危険性は容易に予測できたはず(朝日新聞)
林道コースの閉鎖措置を見れば、雪崩の危険を容易に予測できた(毎日新聞長野)
林道コースの閉鎖を告げる場内放送を聞き、コースの閉鎖措置が取られていることを見たことなどから、雪崩やその影響でスキーヤーに危険が及ぶ恐れを予測・予見することが容易にできたはず(中日新聞)
地形や当日の天候などから、雪崩が原因でコース閉鎖が行われる可能性があることを十分予測できた(読売新聞長野)
同じスキー場での指導経験もあり、雪崩が思い浮かばないとは、にわかに信じがたい(読売新聞長野)

引率の安全基準
雪崩の危険がある時はコースが封鎖されるなどの安全基準を、指導者として知っているべき(毎日新聞)
スキー場では雪や氷の状態により雪崩などの危険があることや、来場者に危険の恐れがある際にはスキー場がコースを閉鎖することなどの知識を被告は指導者として持っていなければならない(中日新聞)
指導者として、スキー場内の安全に関する情報を得る必要と義務があった(朝日新聞)
被告はスキーの初心者・初級者の指導を担当しており、引率の安全基準などの知識を持つことが義務付けられる(中日新聞)
指導者として安全基準などの知識や情報を得る義務があり、雪崩は予見できたはず(毎日新聞長野)

量刑の理由
スキー初心者を指導する立場でありながら、重大な結果を招いた(読売新聞長野)
立ち入り禁止だったコースに進入し、2人の命を奪った結果は重大(朝日新聞)
初心者を指導する立場でありながら、閉鎖コースに進入し、学生2人が死亡した結果は重大(読売新聞長野) 学生の不安の声を制して閉鎖コースに進入し、2人が死亡した結果は重大(読売新聞)
不安を感じた学生らの声を制してコースに入った経緯にも「酌むべきものは乏しい」(中日新聞)

ニュース記事

読売新聞:雪崩で女子大生死亡、スキー引率者に有罪判決
読売新聞長野:雪崩「十分予測できた」…元講師に有罪判決
毎日新聞:スキー実習事故:元非常勤講師に有罪判決 雪崩で2人死亡
毎日新聞長野:栂池高原の雪崩:「雪崩は予見できた」 元講師に有罪、執行猶予4年−−地裁松本支部判決 /長野
朝日新聞:引率の元非常勤講師に有罪判決 スキー実習死亡事故
信濃毎日新聞:栂池高原スキー場の雪崩2人死亡事故、引率の被告に有罪判決
中日新聞:愛大スキー事故で被告に有罪判決

改めて、亡くなった2人のご冥福をお祈りし、スノースポーツに携わる方々は二度とこのような事故がないよう、肝に銘じましょう。

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